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【実話】大学時代に経験した三角関係の思い出3

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その後も、僕は藤田さんと交流を続けた。毎日メールをし(当時はLINEは勿論スマホもなかった)、他愛もない会話をした。

僕は恋をしつつあることを友人である松村に話した。松村がバイトする洋食屋「デイビット」は僕の行きつけのお店になっていて、そのお店を一人で切り盛りするマスター含め仲良くさせていただいていた。その日も僕は松村がバイトしているデイビットに行ってカウンターに座り、彼が忙しそうに働いているのを横目で見ながら藤田さんとメールをしていた。

僕が彼女とのことを話すと松村は「ふうん」と言った。マスターは「もうやったんか」と聞いてきた。「まだやってません」と僕は返した。

「その子可愛いの?」と松村が聞いた。
「めちゃくちゃ可愛いと思う」と僕は返した。
「俺が持ってる大手の内定あげるから、その子ちょうだいよ」と彼は言った。
「絶対だめ」と僕は返した。

松村は大手企業から内定を早々にもらって就活はとっくに終わっていた。彼の名言は「就活なんて、始まる前から結果はわかってる」だった。

そして僕は、まだどこにも内定オファーをいただいていなかった。でも、藤田さんがいるから全く幸せだったのだ。

希望を低くもてば、同じ結果でも喜びは倍増する


大学の前期課程が終わり、うんざりする試験期間が終わった。そして僕は再び藤田さんと会う約束をした。「こないだのパスタのお礼に」と言われ、今度は僕が彼女の家にお邪魔して彼女のオムライスを振舞ってもらうことになったのだ。

自転車文化が根強い京都市内。僕らの移動手段は自転車だった。約束の日に、僕は愛車をかっ飛ばして丸太町通を疾走し、彼女と約束した円町の交差点に向かう。人通りの多い夕方の交差点でも、彼女の姿は一目でわかった。彼女は白と赤のストライプのポロシャツを着て、ジーンズのショートパンツを履いていた。健康的で長い足が自転車を支えていた。

彼女の部屋に着く。藤田さんの部屋は予想以上にシンプルだった。僕が知る女子の部屋はぬいぐるみや友人との写真などが部屋中のいたるところに存在しているもんだったが、彼女の部屋はベッドと円形テーブル、クローゼットに14型のTVとささやかな本棚、というシンプルな部屋だった。

「じゃあ座って待っててくださいね。テレビでも見ながら」と彼女は言った。僕はテレビなんて別に見たくもなかったのだけど、他にすることもないので言われた通りにテレビを眺めていた。

「オムライスはよく作るの?」と僕は聞いた。

「うーん、そうでもないんですけどね。あ、でも別に必要以上に期待しないでくださいね」

「いや、期待するよ、そりゃ」

「例えば実際の出来が10点満点中5点だったとするでしょう?でも事前に3くらいの出来だと思っていれば、5のものを食べても7位には感じることができる。その方が得でしょう?」

「そういうものかな」

「そういうものだと思います」

実際、彼女のオムライスは3なんてことはなかった。普通に6とか7くらいは言っていたと思う。

僕たちは彼女が作ってくれたオムライスを食べ、僕がお土産で買ってきたスイカを食べた。僕はスイカに塩を振るのだけど、彼女は「信じられない」という顔をした。

そうして夜は更け、僕らはどちらともなくベッドに横になり、電気を消した。

僕は割と自然に彼女を抱き寄せ、彼女も僕にくっついてきた。だから僕は躊躇なく軽めのキスをした。
彼女は一瞬驚いたようだったが、特に抵抗することもなかった。

そして僕らは色々な話をした。

「夏休み、長野に帰るの」

と彼女は言った。

「いいんじゃない?楽しみ?」

「久々だから楽しみ」

と彼女は言った。

「長野に帰る時、京都駅まで送っていくよ」

と僕がいうと、彼女はにっこりと笑った。

<続く>

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