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【実話】大学時代に経験した三角関係の思い出2

<前回はこちら>

再会は駅前のスーパーで


「お久しぶりです」

藤田さんに再会したのは初めて会った鴨川の夜から数えて二ヶ月くらい経ってからのことだった。

僕はまだ就職活動の真っ最中だった。そして、色々とうまくいっていなかった。

僕は三月末に、手痛い失恋をしていた。僕が1年間恋し続けたその人は最後に「最低」と僕に言い放ち、飛行機に乗って北海道に帰ってしまった。

そして5月。キャンパスではまだ新入生がどこか嘘っぽくて空々しい友情と青春を演じている頃。
僕は大学の最寄駅近くにあるスーパーの電化製品売り場で日韓W杯の試合を見ていた。サッカーに特に興味があったわけではなかったけど、なんとなく他の人と喜びを分かち合う経験ができるかもしれない、と思ったのだった。
画面の中でせわしなく動き回る選手たちを見ながら「サッカーって何人でやる競技だっけ?」という疑問にぶち当たり、画面の中で動き回る選手たちの合計人数を2で割る作業を必死にしていた時に、後ろから話しかけられた。

それは、晴れて大学生になった藤田さんだった。3月の鴨川の夜に会った時と違い、彼女は少し化粧を覚えていた。端的に言って綺麗になっていた。

「せっかく大学に入ったのに、全然姿見ませんね」

「四回生だからね。就活だしキャンパスほとんど行かないから」

こんな会話をして、僕らは近くの喫茶店に入った。

「大学、つまんないことはないですけど、こんなもんかって感じです」

彼女は言った。

僕らは他愛もない会話をした。彼女は整形外科のCMに出ている人が美人じゃないのは効果がないんじゃないか、と熱く語った。そのCMを見たことがない僕は「そうだね」としか言えなかった。

彼女は僕の日常生活に興味があるようだった。「普段どんなことをしてるんですか?」と聞かれ「一人の時は大抵部屋で音楽を聴いている」と答えた。「どんな音楽?」と聞かれたので僕は好きなアーティストの名前を教えた。

「サイモン&ガーファンクル」

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「radiohead」

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「聴いてみたい」

こうして僕らは連絡先を交換し、今度僕の部屋に遊びに来ることになった。

ミートソースパスタ、アメリカの映画、ケーキ、コーヒー、ベッド

それから数日経って、彼女は僕の部屋に遊びに来た。「料理作って欲しい」と彼女がいうので、僕はミートソーススパゲティを作った。ニンニクをオリーブオイルで弱火でコトコトと炒め香りを移し、玉ねぎのみじん切りとひき肉とホールトマトを放り込み、パスタを茹ででトマトソースにぶっかけてパセリを散らした。

「美味しい」と彼女は言った。自慢じゃないが僕も美味しいと思う。ミートソースとナポリタンを作らせたら、多分僕は日本で3番目くらいには入ると思う。

それから彼女と映画を見た。彼女がレンタルビデオ屋で借りてきてくれたのだ。

映画を見ながら僕らは彼女がお土産で買ってきてくれたケーキを食べた。そして豆から挽いた熱いコーヒーを飲んだ。

映画はアメリカの大学生の青春ものだった。面白くもつまらなくもなかった。

それから僕は映画の感想をなんとなく言い合った。その頃にはもう日付も変わっていて、なんとなく二人でベッドに横になった。
部屋を暗くして、僕は彼女の体を引き寄せた。彼女の体は一瞬力が入ったが、すぐに力を抜いて僕と抱き合った。彼女の細長い手が僕の背中に回る時、僕は久々に胸の奥がグッと掴まれる想いがした。

身長が170cmある彼女の体を抱いてみると思った以上に存在感があったが、予想以上に華奢だった。

抱き合ったままで、いろいろな話をした。

「吉田さん、大学入ってから少し変わっちゃったみたい」

彼女は、知り合ったきっかけでもあった僕の後輩、吉田くんの話をした。

「あいつも色々あるんだよ。高校の時と同じノリじゃいられない」

彼女の髪の毛が僕の首筋あたりで揺れる感触がした。部屋は暗かったから彼女がどんな顔をしていたのかはわからなかった。

「大学、やっぱり少し、思っていたものと違うかもしれない」

僕はこの時、性的に興奮していなかったわけではない。そして大学四回生になっていたので、こういう時にどんな風に誘うかもなんとなくはわかっていた。
ただ、この時間と空間が居心地が良かったのと、彼女が結婚するまでセックスをしないという発言から彼女はまだ処女かもしれないと思って特にこれ以上進めようとは思わなかった。

こうして僕らはいつの間にか眠った。そして朝目覚めると、彼女は既にいなかった。
「パスタ、ごちそうさまでした」という置き手紙と、僕になんとなくの恋の予感を残して。

続く

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