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それでも好きだから、仕方ない。「春の呪い」

小西明日翔作。全2巻。このマンガがすごい!2017」オンナ編2位。

恋はするもんじゃなくて落ちるもんだと思う

よく言われることだが、合コンに行っても恋人はできない(ことの方が多い)。
なぜかと言うと、狙いに行ってるからだ。「彼女作るぞ!」「いい人いないかしら」そんな意気込みで行っても収穫はない。逆に、人数合わせのためにいやいや参加したような人が結果的に恋人を作ってしまう、みたいなことはよくある。

なぜそうなるかと言うと、誰かを意図的に好きになることはできないからだ。大抵の場合、それは不意打ちのようにやってくる。まさかこの人を好きになるとは、みたいなことだらけ。「恋の始まりには理由はない」という名言もあるくらいだ。

失恋したり寂しい時に「恋がしたい!」と僕たちは切望するものだが、そう言う心理の時は残念ながら恋には落ちないのだから、世の中は我々に冷たい。そして、「もうなんかどうでもいいや」って肩の力が抜けた時に、ひょいと恋の気配がやってくるのだ。

死んだ最愛の妹の婚約者と付き合う主人公

この漫画を一言で言うとこれに尽きるだろう。設定だけ見るとどこかで見たことがあるような設定な気もする(実際にそういう物語があるかどうかはわからない)。

主人公である夏美は、妹の春を病気で亡くす。そして春がぞっこんだった婚約者の冬吾と付き合うことになる。夏美はもともと、冬吾に対して苦手意識が強く、必要以上に交流を持とうとはしなかった。だが春の喪失を埋めるために、妹が愛した男と付き合うことを選ぶ。

そして、次第に冬吾に惹かれていく夏美。ただ同時に、春に対する罪悪感が夏美を苦しめていく。

恋愛に罪悪感は持つべきではない。

この物語は2巻で終わってしまうのだが、1巻はどちらかというともうこの世の中に存在しない「春」の喪失感が寒々しく、ドライに描かれていて、2巻からは夏美と冬吾の人間らしいウェットな感触を読者に与える。

そして冬吾を受け入れることを決意した夏美が次に出くわすのは、春への罪悪感だった。

もう帰ってこない喪失を前半で描いた上で、喪失だったはずの存在が夏美にリアリティを持って迫ってくる。

後半の見所は、夏美と冬吾がどうやって春の喪失を乗り越えるか、だろう。この構成は見事だなあ、と思ったり。

まあ、それはいいとして「妹への罪悪感」というのは話としてはよくわかるのだけど、個人的には罪悪感を持ってしまうのはどうなのかなあと思ったりもする。

上記の通り、恋は落ちるものなのだ。理屈じゃないのだ。確かに妹の婚約者と付き合うなんて、道理的にはありえない話だろう。ただ究極的には僕はそれは「好きになっちゃったんだから仕方ない」と思うのだ。

罪悪感を持つのは仕方ないと思うけども、それなら好きな人と別れるのか。大切なのは、そこじゃないと思う。だって、せっかく好きになったのだ。狙って好きになれるわけじゃないのだ。人が人に恋をする、と言うのはとても奇跡的なことなのだ。

であれば、道理的によろしくないことだとしても、恋心は否定せずに、そこからどう戦ってどう乗り越えていくのか。
夏美と冬吾の結末や、いかに。

全2巻だし、オススメです。

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