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浅田真央引退に思うこと

浅田真央選手が引退した。北朝鮮とアメリカ周りが穏やかでない動きを見せている中、日本中のメディアが彼女の引退を取り上げていたように思える。「結構やばそうなのに日本は平和ボケすぎる!」なんていう言説もわからなくは無いが、それはともかくとして浅田真央だ。

僕は、夏季オリンピックには興味が持てないのだが、冬季オリンピックは何故かとても好きだ。自分がウィンタースポーツ愛好家かというと全くそんなことはないのだが、冬季オリンピックの度にテレビをつけて夜中までぼんやりと観戦することも多い。

そんな中、浅田真央。今回の引退報道の取り上げられ方を見ても国民的スターなのは間違いないが、彼女は結局、五輪の金メダルを手中に収めることはなかった。

特に結論も何もないのだけれど、個人的にも好きだった選手なのでちょっと思うことを色々書いてみたい。

年齢制限で出れなかったトリノ五輪。早すぎた天才、浅田真央

彼女の名前を初めて聞いたのは、トリノ五輪の時だった。僕はその時、某民放キー局のスタジオに仕事でいたのだけど、その時に放送されていたのが夕方のニュース番組で、天才少女、浅田真央を取り上げていた。トリノ五輪時、彼女はまだ14歳。年齢制限で五輪には出れなくて「勿体無い。出れば金メダル確実」なんて言われていたのだった。

まあ、結果論だがトリノ五輪では荒川静香選手がため息が出るほど美しい演技を見せてくれて金メダルだったから日本フィギア界にとってみれば結果オーライってことになると思う。ちなみに、もし浅田真央が出ていたら荒川じゃなくて浅田が金メダルだった、的なたられば話を目にすることがあるが、それは野暮というか、ナンセンスだと思うし荒川静香選手に失礼だと思う。

同世代のライバル、キム・ヨナ

そして満を辞して五輪に出場した後も苦難は続く。体の成長にジャンプが追いつかず、彼女の必殺技でもあるトリプルアクセルがなかなか難しくなった、的な分析もあったが、兎にも角にもライバルキム・ヨナの存在は大きいだろう。
バンクーバーオリンピックで金メダルを勝ち取ったのはキム・ヨナだった。ぶっちゃけ、僕自身もキム・ヨナの方が美しいと思ったし、なんというか、彼女には独特の悲壮感がある。ある種強迫観念にも似た韓国国民の熱狂、プレッシャーの重圧(これは多分、僕の韓国への偏見もあると思う)の中で、キム・ヨナは今にも折れそうな脆さと強烈な自我の強さというアンビバレンツな魅力を内包しているように見えた。決して楽しそうにスケートをしておらず、でもセンスと努力は天才的、みたいな。

まあ、めちゃくちゃセクシーなのだ。キム・ヨナは。わけのわからないセクシーさがあるのだ。奥深さが滅茶苦茶深遠なのだ。

それに比べて浅田真央は溌剌としてて、スケートを全身全霊で愛しているように見えた。しかし、逆にそれがキム・ヨナのカオスな美しさと比べると浅く見えてしまった。正直、浅田真央は応援はしたいけど面白いかと言われると面白くなかった。彼女の人生が単純でシンプルだったからだ。

・・・あくまで僕個人の見え方の話だ。ここではスケートの技術的な話は一切出していない。まあ僕、別にスケート評論家でもないし、許してくれ。

持たざる者が勝ち得たドラマ

僕が愛する格闘技なんかは「無冠の王者」という言葉がある。滅茶苦茶強いのに、何故かチャンピオンにはなれない選手というのがいるのだ。実力とは関係なく、王者になれない人。浅田真央も結局それだったのだと思う。

持つものと持たざる者というのは、どこの世界にもあるのだ。そこには、努力は実力では到底超えられない何かがあるのだ。

ただ、浅田真央はそこからが面白かったと思う。幼い頃からの天才で、国民中から将来を渇望されながら滑り続けた選手。期待に応えられず、それでも果敢に難度の高い技に挑み続ける選手。安藤美姫のような大人の女性の色気は持ち合わせず、それでももう体は大人になっているのに、みんなからのパブリックイメージはいつまでも幼少期の「真央ちゃん」。いつまでもどこか垢抜けず、誰もがまるで自分の娘のように語り出してしまうどこまでも「俺の真央ちゃん」なのだ。もうとっくに、そんな存在じゃないのに。

思えば、安藤美姫も騒がれていた。彼女はブレイク前夜の日本フィギア界を、人気の面で一人で引っ張っていた。安藤美姫もきっと凄まじいプレッシャーなどあったと思う。しかしそれを救ったのが浅田真央だったように思える。ところが浅田真央が悲劇なのが、彼女を超えるような後釜が未だ現れていないことだろう(もちろん、若手のホープは沢山いる。ただ、浅田真央ほどのブレイクをしている人がいるかと言われたらいないはずだ)。

そして最終的には、浅田真央は幼かった頃の、五輪に出れなかった頃の自分と戦っていたように思える。言ってしまえば、不遇の天才。でもそれが、いつのまにか彼女を複雑に、そして面白くしていった。「あの人は今」的に消費されず、最後まで戦い続けた。

そして、「気力がなくなった」と最後に言い切ってしまうあたりがまたいい。一人、最後まで戦っていたのだ、と改めて思わせてくれたから。体力とか、技術面で追いつけない、じゃないのだ。気力なのだ。それが無くなったら、もう戦えないのだ。

結局彼女は、金メダルを手にすることはなかった。それはきっと、選手からしたら死ぬほど悔しいことに違いないだろう。「記録じゃなくて記憶に残っている」なんて、何の慰めにもならないどころか、選手としては侮辱に近い言葉かもしれない。

でも、それでも、だからこそ、浅田真央は面白かったと思う。重みやセクシーさは、バンクーバーの時よりはるかに凌駕していると思う。

お疲れ様でした!

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