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一生付き合えるものについてその1

何年生きるのかわからないけど、一生涯付き合っていくんだろうな、と言うものって、誰にでもあるんじゃないかと思う。

こないだ、随分久々に、村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」を手に取った。彼の作品の中で最も好きな作品だ。
ただ、これを読むためにはその前に「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」と言う、いわゆる「青春三部作」を読まねばならない。
そしてこの三部作が有名なので、ダンスダンスダンスはなんだか別枠で扱われることが多い。でも、物語を帰結させる、重要な作品なはずなのだ。

まあ、それはいいとして。

僕にとってこの作品は、人生の節目節目で読んできた本だ。大学1年生の時に初めて読んで、なんとも形容しようのない「シンクロ」を感じた。
読み終えた翌日、僕の高校時代の友人が死んだ。物語の中でも、主人公の昔の友人が死ぬシーンが印象的なのだが、もちろん偶然なのだが、それでも僕は妙に運命的な何かを感じたものだ。

以来、事あるごとに僕はこの本を本棚から引っ張り出してきて読んでいる。

今回、実に14年ぶりに読もうと思って本棚を探したら、上巻がどうも見当たらない。14年前から数回引越しをしているから、どこかへ行ってしまったのかも知れない。仕方なく僕は、出張で訪れた札幌の本屋で上巻を買って、飛行機の中で最初の1ページを捲った。

話の細部は覚えていなかったけど、やはり得体の知れない自分との親和性を感じる。文章が、スイスイと頭の中に入ってくる。

物語は、青春三部作であらゆるものを失った「僕」が再び社会に戻るための過程を描いた作品だ。
そうしてまた再び、「僕」は失うことになる。失うことによって、再びリセットし、元に戻る。

僕はこの作品に、大学1年生の時に出会って本当によかったと思っている。この主人公ほどではないが、僕もこれまで、あらゆるものを失ってきたと思う。そして、自分が何かを損なってしまったと感じた時に、この本に帰ってくるのだ。
読んで元気になるかと言うとそうではない。何か新しい発見があるかと言われてもそれもない。
でも、この本は、僕の人生全体の「リズム」を司っているような気がするのだ。あるタイミングで、僕の人生が必要とする本なのだ。
だから、一生涯付き合うことになると思う本なのだ。

そして、そういう作品は本に限らずあると思う。僕の場合は決して読者家とは言えず、取り上げるとしたら音楽が多くなると思うのだけど、また機会があったら音楽編についても触れたいと思う。

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