メルカリ始めました▷

HOW TO GO(くるり)

2003年発売。5thアルバム「アンテナ」にも再録されたが、今回はシングルバージョンについて。なぜなら、僕がそっちの方が好きだから。

混沌とした世の中で生み出された曲

この曲は、結構なカオスな時代にリリースされた。2001年にNY同時多発テロが起き、「テロとの戦い」の名の元に世界が一致団結して戦争という名のイジメが起きた。

ロックシーンも刹那の物悲しさが蔓延していた。世界を変えてくれるかもと世界が熱狂したoasisの新譜はパッとせず、日本のロックシーンを切り開いたくるりの盟友、スーパーカー、NumberGirは解散し、michelle gun elephant、WINOやpre-schoolなど、日本のロックファンが熱狂していたバンドたちもも次々と解散していった。

くるり自体もそうだった。大学時代からバンドとして活動していたドラマーの森信行が脱退。
このままくるりも、他のバンドと同じように解散しちゃうんじゃないかと思われてた。

ちなみに僕もなかなかの混沌具合だった。当時、新入社員として上京してきた僕は、会社と仕事が嫌で嫌で仕方なかった。毎日毎日、同期と帰りにラーメン屋で愚痴をこぼし、「いつ辞めるか」みたいな話ばかりしていた。自分のしていることがこの先どこに続いているのかわからなかった。京都に帰りたかったし、東京なんて大嫌いだった。

何となく嫌な空気だった。いっつも曇ってた気がするし、世界中の誰もが「先行きのない、そこはかとない不安」を抱えながら、現実に対して見て見ぬ振りをしていたような時代だった。

そんな時に、突如リリースされたのがこのシングルだった。

行き方

すごくよく覚えているのだけど、僕は営業中に立ち寄った飯田橋の本屋で、当時買っていた音楽雑誌「Snoozer」の最新号を手に取った。そこには、時代を象徴するような表紙とくるりの新曲について触れられていた。

IMG_1077

なんかもう、当時の僕の空気感をそのまんま代弁してくれたような気がして、泣きそうになったのを覚えている(あまりに好きすぎて、未だにこの号だけは持っている。ボロボロだけど)。
そういえば、この数年後に、SNOOZER自体も廃刊になった。時代は変わるのだ。まあそれはいいとして。

「HOW TO GO」。そのまんま解釈すると「行き方」となる。モヤモヤした時代の中でどう行くか。「生き方」にしなかったのがくるりらしいな、と思った記憶がある。

結局、しんどくてもなんでも、生きていくしかないわけで、その中でどんな道を、どんなペースで生きていくかって話だと思う。別に勇気付けられるとかそういうわけではないんだけど、「まあそうだよな」って諦めさせてくれる曲。

以来、僕は何か道に迷ったり辛いことがある度にこの曲を引っ張り出して聴いている。こういう、自分の心境と完璧にシンクロする曲と出会えたのは、幸せなことだよなあと思う。

ねっとりしたリズムとストレートな歌詞

何となく根暗な感じなのはそれまでのくるりと同じだとして、くるりの岸田氏をして「ロックでこのぐらい遅い曲も珍しいのではないか」と言わせるほどねっとりとした、スローテンポな曲だ。後半の盛り上がりにかけて歌われる歌詞が好きで。

いつかは想像を超える日が待っているのだろう
いつかは想像を超える日が待っているのだろう

毎日は過ぎてく でも僕は君の味方だよ
今でも小さな言葉や吐息が聴こえるよ

PVも秀逸。定点で捉えられたカメラの真ん中にはくるりの三人がなぜか中華料理を食べていて、その背景に様々な人たちがやってきては去っていく。くるりの三人はスローモーションなんだけど、後ろの人々は倍速のスピードで動く。時代の流れの中で取り残されつつも自分たちのペースは変えない、というメッセージが込められているようなPVだった。

HOW TO GO
HOW TO GO

posted with amazlet at 16.05.03
くるり
ビクターエンタテインメント (2003-09-17)
売り上げランキング: 47,692

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です