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青い車(よしもとよしとも)

1996年発売。よしもとよしともの短編集。表題作である「青い車」はスピッツの曲名から。2005年に映画化もされた。

そこはかとない悲しみ

細い線と表面的なタッチで描かれる、よしもとよしともの漫画。ちょっと狂った、でも狂いきれないギリギリのラインの僕たちの日常が描かれる。もともとはギャグ漫画家だったそうで、随所によくわからんギャグが挿入されるものの、この短編集全体を貫くのは「いつか見た感情」だ。

ひょっとしたら村上春樹にも近いのかもしれないけど、基本的に何かを失い、諦め、絶望しながらも日常を淡々と過ごす主人公たち。バカバカしくて騒がしくて、そして切ない。

この漫画家は大の音楽ファンらしく、90年代近辺のサブカルチャーの匂いがプンプンする。ヴィレッジヴァンガードとかが好みそうなサブカル感。

借りて、好きになって、買った漫画

僕はこの漫画を、大学3年生の時に知った。当時恋していた女の先輩が僕に貸してくれたのだ。「良い漫画があるよ」と。

彼女に恋をしていたからというのものあるかもしれないけど、僕はこの短編集をとても気に入っていた。自分より大人なその先輩が感じる世界を僕も知りたかったのかもしれない。

あるいは、知ったような気分を味わいたかったのかもしれない。

借りたものは返す。結局僕はこの短編集を「ありがとうございました」と言って彼女に返した。その後彼女は僕を部屋に誘い、またある時は僕の家に泊まりに来て「最低」と言って消えていった。

やがて僕も社会人になり、ふとした時に彼女のことを思い出した。そしてこの短編集のことも思い出し、買った。アマゾンで買った。クリックひとつで買った。そして自宅に届いた短編集は、彼女に借りた時よりもずっと綺麗だった。そりゃそうだ、新品なんだから。

そしてそこからまた10年が経ち、僕は再びこの短編集を読んだ。あの時感じたものをもう感じなくなっていたし、あの時感じなかったことを今は感じる。

そんな漫画だ。

もしもあなたが、この記事の文章の感じが気に入ったなら、この短編集も気にいると思う。

そんな、漫画だ。

青い車 (CUE COMICS)
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