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初めての告白の思い出。

景色に宿る思い出

異性に告白するというのは人生の中でも割とハイライト的な思い出となっている人は多いと思う。
僕にとってもやはりそれはそうで。

特に生まれて初めて告白をした時の事は割と鮮明に覚えている。

何故そんな事を急に思い出したかというと、少し前に、人生で初めて告白という事をした場所に偶然立ち寄ったからだ。

忘れもしない、高校二年生の秋。京王電鉄の南大沢の駅出口のバスロータリー。



本格的な初めての片思い

僕は二年生から同じクラスになった女の子に恋をした。
その前の恋が小学生の時だったので、割と深刻な恋煩いになったのは初めての恋だったかもしれない。

ボクシング部だった僕は、減量と毎日の練習で被害妄想の激しい10代の男の子だった。
世間は馬鹿ばっかりで、特に女という存在は頭の悪い連中で、そんな奴らが満喫している青春なんてものはクソクラエだ、と思っていた。
なので、僕達ボクシング部の連中は基本的には女子には嫌われていた。

そんな僕が恋をした瞬間は意外と単純なもので、普段はクールっぽいその子のふとした時に見せた笑顔に、雷が落ちたような衝撃を覚えたのだった。

気づいたらその子の事をいつも考えるようになり、「ああこれが恋というやつか」と思ったのを覚えている。
席替えで彼女の後ろの席になった時には内心狂喜乱舞し、後ろからみたらワイシャツからブラのホックがうっすら透けて見えて妙な罪悪感にかられながらも異常に興奮した。

さて、友人の家に泊まりで遊びに行った時に、僕は恋の相談をした。
当時、お互いを”親友”と公言していたやつだ。
彼も同じく恋をしており、「俺も告白するから一緒に頑張ろうぜ」という、どこにでもありそうな十代少年特有の約束を交わした。

祭の後に。

決戦の時は文化祭。
僕達のクラスはオズの魔法使いの劇を出し物としてやる事になっていた。
どういう経緯か忘れたが僕はかかしの役で出演していたのだが、彼女は舞台裏で出演者の衣装を担当していた。

かかしの役柄である僕は、自分の身長位ある太い棒をちゃんちゃんこの両腕から通し、腕が丁度イエス・キリストの十字架のようになっていた為、一度棒を通すと自分で服装を直したり何かをする事が出来ない。
そしてその代わりに僕の衣装を直したりしてくれたのが彼女だった訳だ。

すぐ目の前で大好きなあの子の顔があり、その子が僕の服を色々と直したりしてくれているのだ。
こんな漫画みたいなシチュエーションがそうそうあるものか、と告白しようという機運も俄然高まる。

ところが、何せ告白はおろか恋すらまともにしていなかった十代童貞少年の僕。
告白をどう切り出していいものか全く分からず、結局文化祭は終わってしまった。
劇は無事におわったものの、すっかり意気消沈してしまったのを覚えている。

しかし、チャンスはその夜に待っていた。
文化祭の打ち上げのボーリング大会後、電車が一緒になったのだ。
そして彼女が降りたのが、冒頭の南大沢の駅だった訳だ。

僕は南大沢駅で降りる訳ではないので一旦は彼女を電車から見送ったものの、そこで瞬間的に決意をして自分も電車を降り、彼女を追いかけた。

そして駅改札を出たバスロータリーの所で自分の気持ちを伝えたのだった。

世界の中心でもないところで愛をささやく

告白した事がある人なら分かると思うが、あの瞬間、自分は本当に世界の中心にいる。
僕の場合、周りにたくさんの人がいた。時間的に夜だったから、きっとみんなそれぞれの家に帰るところだろう。
周囲の人が聞いていたかもしれない。でも、それすら僕にとっての演出に見えたものだ。

僕は、好きだという事と、でもだからといって特に返事は求めない、気持ちだけ伝えたくて、というような事を言った。
彼女はものすごく驚いていた。全く予想していなかったそうだ。

弱者の末路

上記の通りの告白を僕はした。
つまり、逃げたのだ。
「返事は求めない、気持ちだけ伝えたくて」
これは、逃げに他ならない。
返事がいらないはずがない。なぜなら好きな以上、付き合いたいに決まっているからだ。
本当に返事がいらないなら、気持ちを伝える意味などない。
ただただ、返事を聞くのが怖いのだ。

だから気持ちだけ伝えて、あわよくば彼女の方から「付き合おう」と言ってくれないか、という惨めで矮小な僕の本質が露呈したエピソードだ。

こうして、告白した夜は天下をとったか如く達成感に興奮していた僕だったが、次第に訳の分からぬ後悔と不快感にさい悩まされるようになる。
当然だ。僕は彼女と付き合いたかったのだ。キスがしたくてセックスがしたかったのだ。

こんなはずではなかったー。
僕は自分が逃げたのだという事に気付き、この欲求不満を打破する為に半年後、再度彼女を呼び出し、告白をした。次はちゃんと「付き合ってほしい」と言った。
結果は、惨敗だった。

そしてその直後、僕は彼女が付き合っている人がいる事を知った。
同じ学年の、どちらかというと苦手なタイプの男子。チャラチャラしていて下品に笑う男。
こんな男と付き合うなんて、はっきりいって失望した、というのは簡単だが、僕は彼に負けたのだ。

こうして、高校生活唯一の僕の恋愛は自己嫌悪と劣等感の汚物にまみれて終わった。

ついでに、僕が相談した”親友”が好きな女の子は何故か僕が好きで、そのせいか僕と”親友”は疎遠になっていった。

僕にとって高校時代は、暗黒の季節だった。

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